骨が少ない場合の治療BONELESS
インプラント治療の成功のカギを握るのは、顎の骨の質や量です。とくに骨が少ない場合は、インプラントを埋め込むこと自体、困難となります。
そんな骨が少ない症例では、以下に挙げるような治療法で、①骨があるところになんとか埋入する、②まずは骨を作りそこに埋入する、というように不足した骨を補うことが可能です。
なんとか骨があるところにインプラントを埋入するアプローチ
傾斜埋入法
”傾斜”とあるように斜めにインプラントを埋め込むのですが、歯がないところの真下ではなく、斜め先に骨質の良好な部位がある場合、そこをめがけてインプラントを埋入します。
傾斜埋入法のメリットは、下記で説明する「骨を作るアプローチ」と比べると、骨を作る処置を減らすことができ、埋入本数を減らせることから、より低侵襲です。
一方のデメリットは、他の埋入法よりも、より高い埋入技術が必要になります。また、インプラントを埋め込んだ後の工程である印象や補綴に関しても、より深い知識が必要になります。
このデメリットを解消するため、まずはCTが必要です。CTを使うことにより、3Dで口腔内を把握することができます。CTで撮影したデータで、どこに良質な骨があるか、傾斜埋入法ができるかを検討します。
次に解消するためには、なによりも経験が求められます。当院院長はインプラント治療をやるようになってから毎月のように傾斜埋入法の手術をやっておりますので、ご安心くださいませ。
まずは骨を作るアプローチ
「上顎洞挙上術」「GTR法」「GBR法」があります。
上顎洞挙上術
上顎洞挙上術(じょうがくどうきょじょうじゅつ)とは、上の顎の骨の高さが足りない場合に行われる再生治療です。
骨補填材(こつほてんざい)を埋め込んで、骨の再生を促します。
ソケットリフトとサイナスリフトという2つの術式があります。
ソケットリフト
ソケットリフトは、インプラントを埋め込む部位からアプローチする術式です。骨量の不足が比較的軽度の場合に採用される方法です。
サイナスリフト
サイナスリフトは、側面からアプローチする術式で、歯茎の切開を伴います。上顎骨の側面に穴をあけて、骨補填材を挿入します。骨量の不足が比較的重度の場合に採用される方法です。
GTR法
GTR(Guided Tissue Regeneration)法とは、「メンブレン」と呼ばれる特殊な膜を使って、歯周組織を再生する治療法です。
歯茎と骨との間に、適切なスペースを作って、骨や歯根膜の再生を促します。
GBR法
GBR(Guided Bone Regeneration)法は、骨の再生の特化したGTRとお考えください。
GTRは「Tissue(組織)」であるのに対し、GBRは「Bone(骨)」という言葉が使われているように、GBRでは歯根膜などの組織は再生することができません。インプラントはそもそも骨と結合させる装置なので、歯根膜まで再生させる必要はないのです。